債務の格付けを調べる

こんちには。

今回は債務の格付けについて調べてみようと思います。これはETFやファンドを購入する際、そのファンドが何に投資しているかを調べていくと、投資対象が”Baa以上のもの”などという表現の遭遇するためです。ここでは2大格付け会社であるムーディーズとスタンダード&プアーズを調べます。

ムーディーズ社

米国の民間企業で、企業や債券を調査し信用格付けを行っている。

ムーディーズの格付け

ムーディーズ社の格付けによると格付けの定義は次の通りです。

グローバルスケール長期格付け

Aaa 信用力が最も高いと判断され、信用リスクが最低水準にある債務に対する格付け
Aa 信用力が高いと判断され、信用リスクが極めて低い債務に対する格付
A 中級の上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付
Baa 中級と判断され、信用リスクが中程度であるがゆえ、一定の投機的な要素を含みうる債務に対する格付
Ba 投機的と判断され、相当の信用リスクがある債務に対する格付
B 投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付
Caa 投機的で安全性が低いとみなされ、信用リスクが極めて高い債務に対する格付
Ca 非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にあるが、一定の元利の回収が見込め る債務に対する格付
C 最も格付が低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収の見込みも極めて薄い債務に対する格付

メディアなどで報じられる格付けはこのグローバルスケール長期格付けであることが多いようです。この分類を見ると、一般的に投資可能なものはBまでとなるのでしょう。Baの説明にある”相当の信用リスクがある”債務とBの説明にある”信用リスクが高いと判断される”債務という表現、なんとなくBの方がリスクが低そうに感じるのは私だけでしょうか?

Caまで行くとデフォルトかそれに近い状態とされるので、その段階で投資しようという人はあまりいないでしょう。ただ、再建の見込みがあるのであれば、その会社の社債を安く仕入れることで利益を上げることができるかもしれません。ただ、その見極めは簡単なものではないと思います。

グローバルスケール短期格付け

長期格付けがあるので、短期格付けもあるようです。

P-1 短期債務の返済能力が極めて高い発行体(又は信用補完提供者)に対する格付
P-2 短期債務の返済能力が高い発行体(又は信用補完提供者)に対する格付
P-3 短期債務の返済能力が許容しうる程度である発行体(又は信用補完提供者)に対する格付
NP 「プライム」のどの格付範疇にも属さない発行体(又は信用補完提供者)に対する格付

長期格付けに比べると何やらパッとしませんが、NPの解説が微妙な表現と思います。長期格付けのように”デフォルト”や”投機”などという表現はなく、”返済能力が無い”とも言っていません。P-3にある”返済能力が許容しうる”に該当しないものですが、”返済能力が無い”とは言わず、”どの格付け範疇にも属さない”という回りくどい表現を取っていることにはが何か意味があるのでしょう。

スタンダード&プアーズグローバルレーティング

スタンダード&プアーズグローバルインクの1つの事業部門として信用リスクの調査と格付けを行っています。

スタンダード&プアーズの格付け

2大格付け会社のもう1つ、スタンダード&プアーズの格付けは次の通りです。

長期個別債務格付け

AAA 当該債務を履行する債務者の能力は極めて高い。スタンダード&プアーズの最上位 の個別債務格付け
AA 当該債務を履行する債務者の能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は 小さい
A 当該債務を履行する債務者の能力は高いが、上位 2 つの格付けに比べ、事業環境や経 済状況の悪化からやや影響を受けやすい
BBB 当該債務履行のための財務内容は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によっ て当該債務を履行する能力が低下する可能性がより高い
BB 他の「投機的」格付けに比べて債務が不履行になる可能性は低いが、事業環境、財務 状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっ ては当該債務を履行する能力が不十分となる可能性がある
B 債務者は現時点では当該債務を履行する能力を有しているが、当該債務の履行にかか る不確実性は「BB」に格付けされた債務よりも高い。事業環境、財務状況、または経済状 況が悪化した場合には、当該債務を履行する能力や意思が損なわれ易い
CCC 当該債務の履行について現時点で不確実性が高く、債務の履行は、良好な事業環境、 財務状況、および経済状況に依存している。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化 した場合に、債務者が当該債務を履行する能力を失う可能性が高い
CC 当該債務の履行について現時点で不確実性が非常に高い
C 当該債務の履行について現時点で不確実性が非常に高い場合や、契約条件に基づき支 払いが繰り延べられている場合、発行体が倒産申請あるいはそれに類似した手続きを取っているにもかかわらず当該債務に支払いの不履行が発生していない場合に「C」が付与される。また、優先株式や劣後債務、そのほかの債務で、発行条件に基づき現金支払いが停止されているものにも「C」が付与されることがある。優先株式で、そのすべてまたは一部について切迫した状況での債務交換が提示され、額面価格を下回る金額で現金で買い取られるか他の債務と交換される予定であるものにも「C」が付与されることがある。
D 当該債務は不払いとなっている。「D」は、当該債務の支払いが期日通り行われない場 合に用いられる。支払猶予期間中であっても、支払猶予期間中に支払いが行なわれないとスタンダード&プアーズが判断した場合には、「D」が用いられる。また、倒産手続きの申請などが行われ、当該債務の支払いが危ぶまれる場合にも用いられる。切迫した状況での債務交換が完了し、それにより当該債務が額面を下回る金額で、現金で買い戻されたり、 他の証券に交換された場合にも、当該債務の格付けは「D」に引き下げられる。

ムーディーズと比較すると1段階多いです。それは”D”。デフォルトのDでしょうか。文章についてもムーディーズよりも細かくそして硬い表現のように思えます。格付け記号はムーディーズよりわかりやすいように思います。スタンダード&プアーズのほうは債務の不履行を回避している限りはD判定にはならないようです。スタンダード&プアーズの格付け基準の資料によると、BBBとBBの間には溝があるようです。簡単に言えば投資適格はBBB以上。それ以下は投機的とのこと。経済状況や事業環境によって債務の不履行になる可能性があるとスタンダード&プアーズが判断しているものが、BB以下。経済状況や事業環境が債務の履行に与える影響が少ないとスタンダード&プアーズが判断しているものがBBB以上ということになるのでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。